投稿日:2025.07.31

中国電力ネットワーク株式会社

広島ネットワークセンター 変電第一課

副長 山根 光喜さん(写真右)

大和田 拓也さん(写真左)

 

 

いよいよ今年の秋、建屋竣工を予定している変電所棟。

※2025年の建物竣工以降、切替工事を実施し、2027年度供用開始予定。

 

聞いたことはあるけど…変電所ってなに?

変電所で働く方ってどんなことをしているの?

そんなギモンを、本事業の施行者でもある中国電力ネットワークのお二人に聞いてみました。

 

 

1.  お二人の自己紹介をお願いします。

山根

私は広島出身で、中学校の理科の授業で電気に興味をもったことがきっかけで、工業高校に進学し、中国電力に入りました。今は主に変電所の設計から施工、現場管理まで一貫して担当しています。

 

大和田

私は山口出身で、中学校卒業からの目標でもあったことと、高等専門学校で電気系の科目が好きだったので、中国電力に入社しました。今の担当業務は山根副長と同じですね。

 

2.「中国電力ネットワーク株式会社」は、どんなことをされている会社でしょうか。

 

山根

2020年4月に中国電力から分社化した会社で、「発電・小売事業」を行う中国電力に対して、私たちは電気を一般家庭や事業所などに届ける「送配電事業」を行っています。

 

 

3. いよいよ今年秋に建物が完成する変電所棟ですが、そもそも…変電所ってなんでしょうか?

 

山根

変電所は、電気の“電圧を変換する”施設です。 発電所で作られた電気は一度電圧を高くして送電線で送り、変電所で段階的に電圧を下げながら各家庭や施設に届けていきます。

 

―段階的に電圧を下げているのはなぜですか?

 

大和田

電気は電圧が高くなると電流が減るので、損失が減って効率よく送れます。

ただ、高電圧のまま家庭や施設に届けると、感電や火災のリスクが高くなるので、変電所で段階的に電圧を下げて、最終的に家庭用では100Vや200Vにします。電圧を段階的に下げることで、地域ごとの需要に応じた分配がしやすくなるというメリットもあります。

 

―そういうことなのですね!

 

4. 今回、本事業で変電所の建替えを行うのはなぜでしょうか。

 

大和田

現在の変電所は建設から約60年経過しており、耐震改修などを重ねた結果、新しい機器を置くスペースが無くなってきたので、更新を検討していました。

ただ変電所の性質上、あまり遠くには建替えられません。建替え用地を探していたところ、今回の再開発の話があり、隣地に建て替えられるということで、願ってもない話でした。

 

▲変電所の機能を維持したまま、隣地へ建替える本事業のスキーム

(詳細は「事業概要」をご参照下さい)

 

5. 新変電所の特徴を教えてください。

 

山根

建物の3階以上に変電設備を設けていることでしょうか。

実は高潮や太田川の氾濫により最大5mまで浸水する可能性があるため、1階を駐車場、2階をケーブル処理室にしていて、その上に変電設備を設置しています。こういった変電所は、弊社では初めてとなります。

 

―変電設備を3階まで上げるとなると、機器の入れ替えなど大変なのではないでしょうか。

 

山根

機器は大きいもので、50トンくらいあります。

(参考までに新幹線(N700系)1両で約44トンとのこと!:筆者調べ)

 

実は3階の床がスライドして開くようになっていて、天井についているクレーンで、機器を吊り上げられるようになっています。このような構造は弊社では初めて採用しました。

 

―そんな仕掛けがあるとは…!秘密基地みたいですね!

 

▲新変電所の外観パース

 

山根

あとは、国際規格に準拠した最新の監視制御装置を導入しています。

 

段階的に変電所のデジタル化を進めていき、これまで温度や圧力の変化など、現地のメーターを見て確認していた部分がデジタル化されて、一か所で集約して見られるようになります。

 

個人的にはアナログなメーターも好きですけどね(笑)

 

6. 変電所で働く方は、どのくらいおられるのでしょうか。

 

山根

基本的には、変電所に常駐している人はおらず、無人です。広島県の全域を監視・制御している制御所があり、変電所で異常があれば警報が鳴って、人が駆け付けるという体制になっています。

ただ関わっている部門で言うと、今回の変電所建替えプロジェクトチームは4人、さらに送電、配電、通信、制御の部門など多くの関係者が変電所建替工事に携わっています。

 

7. 業務のやりがいを教えてください。

 

山根

やっぱりプロジェクトの最初から参加して、設計にも携わって、実際に形になるということに、一番やりがいを感じます。実は変電所の建替えは、弊社でも久しぶりで、かなり大きいプロジェクトなので、やりがいとプレッシャーの両方がありますね。

 

8. 最後に本事業に期待することを教えてください。

 

大和田

実は変電所の建替え用地は10年くらい前からずっと探していて、このプロジェクトに参画させてもらったところから一気に進んで、ようやく建替えが叶うという思いです。

このプロジェクト全体では広島中心部の再開発ということで街の活性化に繋がることを期待しています。また変電所が出来ることで、これまで以上にこの地域における電気の安定供給にも寄与できると思っています。

 

山根

今回の変電所建替えは一大プロジェクトなので、もっとスポットライトを浴びてもいいのでは…と密かに思っています(笑)

 

―変電所は生活に欠かせない重要なインフラだということが、改めてよく分かりました!

 貴重なお話をありがとうございました。

 

 

▲中電基町ビルから見た新変電所

 

▲市道112号線(敷地東側)から見た新変電所

 

すでに最上階まで立ち上がってきています!

建物の完成が楽しみですね。

 

<インタビュアー>

独立行政法人都市再生機構

西日本支社 中国まちづくり支援事務所

広島都心部再生課

松村 尚

 

まちづくり支援課

舟橋 未乃里