投稿日:2026.02.20

現在、工事が着々と進み、日々その姿を現しつつある高層棟「KAMIHACHI X(カミハチクロス)」。まちの新たなシンボルの名称は、どのようなプロセスを経て生まれたのか——。

本プロジェクトで高層棟のネーミングとロゴの制作に携わっていただいた株式会社GKデザイン総研広島の平井 達也さんに誕生の舞台裏を伺いました。

 

高層棟「カミハチクロス」のロゴ

 


──まずは自己紹介をお願いします。

平井さん:
株式会社GKデザイン総研広島で、都市環境や建築に関わるデザインを中心に担当しています。
出身は神戸ですが、2006年に広島へ移り、最初はグラフィックなどコミュニケーションデザインを担当していました。その後、地域活性化やまちづくりにも携わるようになり、サイン計画やランドスケープ、プロモーションなど幅広く関わっています。

 

今回のネーミング・ロゴ制作には、地元のエリアマネジメント団体「カミハチキテル」を通じて関わらせていただきました。カミハチキテルには立ち上げ当初から関わっていて、実は団体名のネーミングやロゴも当時の担当の方々と一緒にデザインしました。

 

「高層棟をまちに親しまれる存在にしたい」という再開発事業者の皆さんの言葉を聞いて、これまでの活動で感じてきたまちの空気感や視点を生かしながら、ネーミングとロゴを一緒に考えさせていただくことになりました。

 


ネーミングとロゴは、ブランディングの最初の一歩”

 

──高層棟のネーミングとロゴについては、本事業に携わるメンバーや地元のエリアマネジメント団体・カミハチキテルのメンバーも参加し、約半年の議論を重ねて決定しました。その中での平井さんの役割を改めてお話いただけますか。

 

平井さん:

端的に言うと、ネーミング・ロゴの制作で、検討部会のファシリテーションをしながら、皆さんと一緒に考え、方向性を整理していく役割でした。

現在は、再開発のブランディングについても伴走支援をさせてもらっていて、ネーミング・ロゴ制作はその第一歩だったと思います。

 

──依頼を受けた時の感想を教えてください。

平井さん:
素直に嬉しかったです。高層棟が建つ場所は、これまで関わってきたカミハチキテルが最初に社会実験を行った場所でもあります(公共空間活用社会実験 [カミハチキテル – URBAN TRANSIT BAY -] )。責任もありますが、「皆さんと一緒に前向きに取り組めるのが楽しみだな」と思いながらのスタートでした。

 


 

 “みんなでつくる”プロセスを大切に

昨年度の検討部会でロゴの検討をしている様子

 

 

──ネーミング検討では何を大切にされましたか?

平井さん:

ネーミングはブランディングの入り口として、意外と誰でも意見を出しやすい場面でもあります。

だからこそ 「みんなでつくる」 プロセスが重要だと思っていました。

そこで、名前を出し合う前提となる考え方や参考事例を共有し、参加者それぞれの視点や思いを言語化してもらう仕掛けを用意しました。

──私も参加していましたが、検討部会のメンバーから150個以上の案が出て、読み込むだけでも大変でしたね(笑)

 

 

──「カミハチ」を入れるかどうかも議論になりました。

平井さん:
そうですね。自分はファシリテーターとしての立場上、あくまで中立の立場に徹しました。
紙屋町・八丁堀をつなぐランドマークにしたいというメンバーの皆さんの思いから、自然と「カミハチを残したほうがいいのでは」という声が生まれ、そこに集約されたのは良かったと思います。

資料を見ながらネーミングを議論した当時を振り返りました。

 

──印象に残っている場面はありますか?

平井さん:
あとから気づいたのですが、5年前に「カミハチキテル」の名前を決めたときと同じ、まちなかの共創拠点にあるホワイトボードで、「カミハチクロス」のネーミングを絞る作業をしていたんです。
まるで伏線を回収したような、不思議な気持ちでした(笑)。

──カミハチキテルと再開発がここでも繋がりましたね!

 


──最終的に高層棟は「カミハチクロス」になりましたが、率直な印象を教えてください。

平井さん:
人々の思いや活動が交差する場所” を「クロス」でシンプルに表現できたことが大きかったですね。
そして何より「カミハチ」が前提にあったからこそ、一般語の「クロス」を組み合わせても独自の名前になった。

皆さんのまちづくりの積み重ねがあってこそ、このビルが建つ。そんなストーリーがきれいに表現できたと思います。

 


──ロゴ制作ではどんなことを意識されましたか?

平井さん:
ロゴも “共創” を大事にしました。
意識的に複数方向のデザイン案を提示し、タッチや色、向きなどを皆さんと調整しながら進めました。最終的には「これだね」と自然に合意できる状態になり、プロセスが形になったように感じています。

──半年かかったネーミングとは対照的に、ロゴは1ヶ月で決める必要がありましたね。

平井さん:
決定に至るまでのスピード感が速く大変でしたが(笑)、ネーミングの段階から積み上げてきた「共通の思考」があったので、短期間でも皆さんが納得のいくものに仕上がったのではないかと思います。

 

ロゴの青と緑のグラデーションも、検討部会のメンバーでこだわって選びました。

 


──昨年10月にカミハチクロスの名称を発表しました。どのような反応がありましたか?

平井さん:
好意的な声が多く聞こえてきていて、素直に嬉しいです。皆で考えるというプロセスを踏んだこともあり、関係者の方が外で会話するときも前向きに話してくださるのが良いですね。

「今日の服装はカミハチクロスのロゴ配色です」と平井さん。さりげない色使いがさすがです。

 

──最後に、本事業に期待することを教えてください。

平井さん:

再開発はあくまで1つの敷地の話ですが、まちづくりはその周辺の暮らしやビジネスと切り離せません。全て地続きです。

そこで「カミハチクロス」が接点となって、人や活動、時間をつなぐ、まさにクロスする場所になることを期待しています。
今はオープンスペースの活用検討もお手伝いさせてもらっていますが、これからも、まちの変化を見守りながら関わり続けられたら嬉しいですね。

 

──今後ともぜひ、よろしくお願いします!本日はありがとうございました。

 

インタビュアー:UR都市機構 舟橋 未乃里

                    山根 成史