広島市 柴田 知子 様 「地権者 インタビュー」
投稿日:2024.01.30
広島市
道路交通局 自転車都市づくり推進課
課長 柴田 知子(写真中央)
<インタビュアー>
株式会社朝日新聞社
不動産業務室
主査
籾倉 加奈(写真左)
株式会社朝日ビルディング
企画開発室
主任
谷村 茉衣子(写真右)
本事業の地権者であり、基町駐輪場及び新しく建築される市営駐輪場棟を管轄する立場として参画する広島市/柴田氏に、同じく事業に参画する朝日新聞社/籾倉氏、朝日ビルディング/谷村氏からインタビューをしました。
事業に携わるメンバーの中でも数少ない女性同士、たわいもない会話からインタビューはスタート。まずは自転車都市づくり推進課の概要について、お話を伺いました。
柴田
自転車都市づくり推進課は、広島市役所の複数の部署にまたがっていた自転車施策を統合し、一体的に進めていくため、平成24年にできた部署です。私も入れて事務職員5名、土木職2名、建築職1名、計8名の小さな職場です。
大きく分けて自転車施策と駐車場施策を担っていまして、自転車施策でいいますと、自転車が車道を安全で快適に走行しやすくする自転車走行空間整備、市営駐輪場の整備と管理運営、民間駐輪場の整備促進、放置自転車対策、ルール・マナー向上のための普及啓発、自転車を活用した健康づくりやサイクルスポーツ振興など、様々な事業に取り組んでいます。
谷村
本事業には、どのような経緯で参画されたのでしょうか?
柴田
既に解体工事が始まっていますが、本事業の計画地にあった基町駐輪場は、収容台数1,120台の大規模な市営駐輪場でした。稼働率も高く、周辺に誰でも利用できる民間駐輪場や市営駐輪場がないため、重要なインフラだったと認識しています。
この基町駐輪場が入っている旧市営基町駐車場ビルは、築50年を超える老朽建物で、今後も引き続き運営していくためには建替えか耐震化が必要な状況でした。また、本市における人中心のウォーカブルで回遊性のあるまちづくりという方針もあって、市営駐車場は廃止する運びとなりました。
一方で、その跡地については、都心のにぎわいの創出や都市機能の充実・強化など、都心の活性化のために活用したいという観点から、周辺の民有地と一体となった再開発事業の実現に向けて、検討を深めてきました。
このような経緯の中で、再開発事業に参画し、再開発事業の中で新たな市営駐輪場を整備して、引き続き同規模程度の駐輪台数を確保することにしたのです。
籾倉
基町駐輪場は市民の方にとっても大切な移動の拠点だったように思います。新しく建築される市営駐輪場棟は、どのような建物になるのでしょうか?
柴田
市営駐輪場棟は地下1階と地上1~2階が自転車、3階が原動機付自転車、4~5階が自動二輪車のエリアになります。また、建物の外に約160台の駐輪スペースもあります。収容台数としては、自転車が建物の内外合わせて約1,000台、原動機付自転車が約200台、自動二輪車が約300台となります。
現在の市営有料駐輪場の多くは有人管理で、一時利用の際に係員に料金を手渡していただく必要があるのですが、新駐輪場は自動ゲート式でキャッシュレス決済も可能です。トイレも男女別のほか、多機能トイレも備えました。
周辺域から都心へ直接自転車やバイクで乗り入れる、または公共交通機関で都心まで来て、目的地まで自転車やバイクに乗り換える、こうした移動のために、より一層、駐輪場を活用していただけたらと思います。車からの乗り換えは、環境負荷の低減やご自身の健康維持の観点からも効果が期待できますね。
また、これまでも広島市シェアサイクル「ぴーすくる」のポートが併設されていましたが、新しくできる市営駐輪場棟にもシェアモビリティのポートを設置する予定です。様々な移動手段の拠点となることによって、回遊性の向上に寄与したいと考えています。
谷村
市営駐輪場棟の竣工は令和11年度の予定ですが、今から完成が楽しみですね。ところで、基町駐輪場の閉鎖に伴い仮設駐輪場がオープンしていますが、その概要を教えてください。
柴田
仮設駐輪場は令和5年11月1日にオープンしました。自転車と原動機付自転車・自動二輪車で2か所に分かれています。
自転車は「広島県立総合体育館武道場上部広場(広島市中区基町5番)」にあり、台数が約900台で、供用時間は午前6時から午後11時までで年中無休、利用料金は一時利用が1日100円、登録料金が1か月1,500円となっています。
原動機付自転車と自動二輪車は「広島市中央駐車場(広島市中区基町2番)」にあり、台数が約460台で、供用時間は午前6時半から翌1時までで年中無休、利用料金は一時利用が1日250円、登録料金が1か月2,500円となっています。
市営駐輪場棟が竣工するのは令和11年度の予定ですから、約6年間、仮設駐輪場をご利用いただくことになります。武道場上部広場には屋根がありませんので、特に自転車のご利用者の方にはご不便をおかけしますが、ご理解いただければと思います。
籾倉
最後に、本事業に対する柴田さんの思いを教えてください。
柴田
私は広島市役所の事務職員として、これまでに10か所の部署を経験してきました。異動先については希望を言うことも可能ですが、もちろん、常に叶うわけではありません。中でも市街地再開発という分野は主に技術職の職場であるため、希望しても叶うとは考えていませんでした。そのような中、ひょんなことから基町駐輪場を所管する地権者という立場で「紙屋町・八丁堀エリアにおける官民連携のリーディングプロジェクト」の位置づけのある本事業に関わる機会を得たことは望外の喜びでした。
令和3年4月に担当者となりましたが、関係権利者との合意形成から始まり、都市計画決定、施行認可、そして再開発事業の山場の一つである権利変換計画認可まで、再開発事業の各ステップを目の当たりにすることができました。その間、担当者間も含めると、100回は協議を重ねているのではないでしょうか。合意形成のためにかける時間と労力を、身をもって知ることができましたし、関わる方たちの熱意や専門性の高さによって支えられている事業だとも思っています。
市営駐輪場棟の設計にあたっては、本事業の施行者様にもサポートしていただきましたし、他の地権者様のご協力のもと実現できたプランもあります。あらためて、感謝申し上げたいと思います。
メイン施設の高層棟が竣工する頃には別の部署に異動していると思いますが、これから建物が出来上がっていくことにワクワクしていますし、ラグジュアリーホテルのロビーまでは誰でも入れると聞いていますので、出かけてみたいです。6階のオープンスペースでビールをいただける機会があればいいですね。あとは、市営駐輪場が完成したらmy自転車で利用してみたいと思っています。
終始にこやかであっという間のインタビュー時間。柴田さんから「これからも気負わず自然体でいきましょう」とお声がけいただき、温かい気持ちになるインタビュアー2名でした。
※部署名・肩書は取材当時のものです。